はじめてのクラシック ~ロマン派・リズムの天才 チャイコフスキー~

トーク/音楽
はじめてのクラシック~ロマン派・リズムの天才 チャイコフスキー~

出演

■CAST
 案内役   三枝成彰(作曲家)
指揮者    小林研一郎
バイオリン  瀬崎明日香
ピアノ     金子三勇士
演奏     新日本フィルハーモニー交響楽団

■曲目
ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op35
ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調 op.23
交響曲 第4番 へ短調 op.36

■STAFF
制作 BS朝日
    テレビ朝日
    テレビ朝日映像

放送は終了しました。ご視聴いただきありがとうございました。

番組紹介

■ポイント
海外では、子どもからお年寄りまでクラシック音楽を聴く習慣がある。しかし、日本には数多くのコンサートホールがあるにも関わらず、コンサートに訪れるのは、中高年の大人が多い。果たしてクラシックという音楽は、子どもたちに嫌われているのだろうか…? クラシック音楽というのは設備の整った音楽ホールで聴いて初めて、その本質、演奏者の鼓動、息吹を感じるものなのだ。子どもたちはその機会に巡り合えていないだけなのだ。一度その会場に足を運べば子どもたちにも(いや子どもたちだからこそ)その素晴らしさが実感できるはずである。
日本を代表する作曲家・三枝成彰氏は、多くの子どもたちにその機会を与えたいと「はじめてのクラシック」と題する音楽会を企画。毎回、最高の演奏家を招いてクラシック音楽の素晴らしさを自身の解説を交えながら行っている。今回は、管弦楽、室内楽、オペラ、バレエ音楽など、どの分野においても高い人気を誇るロシアの作曲家、チャイコフスキーを取り上げる。日本ではチャイコフスキーと言えば絶大なる人気を誇るが、西洋では「通俗的」の一言で長らく無視されてきた。なぜか。
三枝氏の解説は、大衆文学と純文学のたとえをまじえて目からうろこの感があり楽しい。
また「初めてのクラシック」と名付けるように演奏会での拍手や声援の仕方にも言及、クラシック演奏会の持つ固くるしい雰囲気を取り払ってくれる。

■内容
2009年8月11・12日、東京国際フォーラムにおいて、あるコンサートが行われた。作曲家・三枝成彰氏の呼びかけで始まった、「はじめてのクラシック〜高校生や中学生のために〜」だ。今年で3回目。入場料も通常より低く設定、曲の合間には、三枝氏による解説が行われるなど、初めてクラシックを聴く中高生でも楽しめる内容となっている。そんな三枝氏の活動に共感し、今回コンサートに参加するのは指揮者・小林研一郎。ピアノには、19歳の金子三勇士。バイオリンは瀬崎明日香。そして今回三枝氏がテーマとして選んだのは、抒情的で流麗・メランコリックな旋律や絢爛豪華なオーケストレーションで人気の、チャイコフスキー。
誰しもが一度は耳にしたことのあるバレエ曲「白鳥の湖」「くるみ割り人形」など大衆的人気のあるロシアの作曲家だ。彼が生み出した多くの作品は、数十年前まで「通俗的」との一言で長らく西洋では評価されていなかった。しかし、なぜいま、世界中の人々に愛されるようになったのか。それは、あざとさに辟易しながらも、聴いているうちにぐいぐい引き込まれていってしまう不思議さと、頭をすっかり空っぽにして、安心して身をゆだねていられる気持ちよさにあるらしい。世の中がロマンチックなものに飢えているのかもしれない。情緒的民族といわれる日本人がチャイコフスキーを好きなのは、この心憎いほどツボをとらえたチャイコフスキーの「あざとさ」にあると三枝氏はいう。
余談だが、ハリウッド映画音楽の原点となったのもチャイコフスキーをはじめロシア人たちの音楽スタイルだった。

今回の曲目、ヴァイオリン協奏曲ニ長調はチャイコフスキーが生涯にただ1曲書いたもの。
ピアノ協奏曲第1番変ロ短調は最初に書いたピアノ協奏曲で、チャイコフスキーの3曲あるピアノ協奏曲のなかで最も愛されるものとなり、古今に数多くあるピアノ協奏曲の中で最もよく演奏されるもののひとつです。
そして、交響曲第4番へ短調はチャイコフスキーの“もっともよき友人ナジェジーダ・フォン・メック夫人”に捧げられた曲。