時分の花からまことの花へ 歌舞伎役者 片岡愛之助が見る未来

時分の花からまことの花へ 歌舞伎役者 片岡愛之助が見る未来

番組概要

「とにかく歌舞伎を観に来てほしい。生で観てもらえれば絶対に面白いと思ってもらえる。」

2014年11月から密着を始めたカメラに、歌舞伎役者・六代目片岡愛之助は何度も繰り返した。
テレビでの活躍を糧に、今新たな境地を目指して本業に邁進する愛之助。
その目には、歌舞伎の、そして自分の未来が、きっちりと見えていた。

テレビドラマ「半沢直樹」で一躍ブレイクした片岡愛之助。本業は歌舞伎役者である。ドラマをきっかけに、初めて歌舞伎を観に来てくれる人が増えたことをとても喜んでいる。 「敷居が高いって思われがちでしょ?きっかけはなんでもよくて、この人が歌舞伎やってるんだ、じゃあ観に行ってみよう、ととにかく歌舞伎を観に来てもらえるのがありがたい。」

元々、歌舞伎とは関係のない船のスクリューのプロペラを作る町工場の長男が、初めて観た歌舞伎の世界に「かっこいい!」と心酔したのがことの始まり。持って生まれた素質と数多の幸運に恵まれ、1992年19歳で大阪、上方歌舞伎の名家、片岡秀太郎の養子となり、六代目愛之助の名を継ぐ。最初は自己の研さんに必死だった愛之助だが、主役を務めるチャンスが巡ってきて一つの思いに気が付いた。「もっと歌舞伎を観てもらいたい。」
同世代の役者や未来を背負うべき後輩たちが上方にはほとんどいない。東京の歌舞伎座のように年間通して歌舞伎の公演が上方ではできていない…。もっと歌舞伎を観てもらうため、越えるべき壁はどんどん現れる。今こそ自分は何を成すべきか。
テレビでもラジオでもメディアにはどんどん出て行こう。もっと片岡愛之助を、歌舞伎を、観に来てもらおう。片岡愛之助は貪欲に、真っ向から、歌舞伎と向き合い、走り始めた。日本各地を回った巡業から伝統ある歌舞伎座で初の主役を務める緊張…。
”半沢”のブレイクから一年、一つの成功を糧にして、片岡愛之助が見据える未来とは? その一部始終を追いかけ、片岡愛之助の素顔にじっくりと迫るスペシャル番組。

放送予定

★永楽館歌舞伎 11/4~9
兵庫県豊岡市出石に、築百年を迎えた豊岡市指定文化財の芝居小屋「出石永楽館」がある。7年前から自身が座頭となり、定期的にここで公演を行ってきた愛之助。今年は地元にゆかりの深いコウノトリをモチーフにした新作をかけることに。見せ場は「早替り」。愛之助が舞台裏ですばやく化粧と着替えをして変身、再登場して客を沸かせる仕掛けだ。より楽しく、分かりやすい歌舞伎を届けたい。そんな熱い思いを胸に、共演者はもちろん、衣裳やかつらのスタッフ、演奏者たちとの入念な打合せを重ね、いよいよ本番を迎える。

★全国10カ所を巡業する松竹大歌舞伎 11/12~25
「永楽館歌舞伎」を終えると、翌日はもう次の公演に向けた稽古が。驚くことに、次の公演は稽古場での稽古がたった1日。翌日にはもう初日の公演地、富山へ。1日2回の公演を終えると、すばやく化粧を落とし、次の公演場所へ向かうバスへ飛び乗る。そんな生活を2週間ほど繰り返し、北は秋田から南は大分まで、全国を縦断する。
各地の劇場は大きさも形もさまざま、観客の性格も違うという。それでも来た人は必ず楽しませ、また来たいと思わせたい、高いチケットに見合うだけの演技をしなければ、という。

★12月は東京へ
巡業の千穐楽・大分から空路にて東京へ。次の出演作は歌舞伎座『源平布引滝(げんぺいぬのびきのたき)義賢最期(よしかたさいご)』の主役だ。意外にも歌舞伎座で初めて主役を務める。この演目は片岡一門のお家芸。おじの片岡仁左衛門からも厳しい教えを受けてきた。
今、歌舞伎界では東京在住の役者がほとんど。関西在住の役者は全体の1割ほど。自身が上方歌舞伎の役者であることにこだわりを持つ愛之助、江戸歌舞伎の中心、歌舞伎座で果たしてどんな演技を見せるのか。