パナソニック スペシャル 次世代への羅針盤 伊藤元重の経済×未来研究所
第8回放送テーマ
(5月24日 20:00~20:55)


グローバル・マネーと日本 ~世界経済の発展に役立つ上手な活用法~

今、世界中が、サブプライムローン・バブルの崩壊に恐れおののいている。世界同時株安、原油価格の高騰、そして農産物価格急騰など世界経済の混乱に大きく関与しているとして悪しきイメージをまとってしまったグローバル・マネー。
そのため、グローバル・マネーの危険要素ばかりを殊更、問題視する傾向がありますが、グローバル・マネーなくしては、今や世界の実態経済は最早回転していかないのも事実。グローバル・マネーは、日本の地域経済を活性化し、新興国の経済成長を促す原動力になりうる可能性もあります。
今回はグローバル・マネーを上手に利用し、世界経済や日本経済にプラスにするにはどうしたら良いのかを考えていきます。

番組では、グローバル・マネーの活用方法を日本に呼び込んで活用するケースと、逆に世界でも有数の個人金融資産を持つ日本のマネーを世界のために活用するケースとの両面で捕らえ、具体的な事例を紹介します。


グローバル・マネーで企業を再生する

海外のマネーが日本の企業を再建する事例としては、日光の老舗旅館「星の宿」のケースを取り上げます。日光・鬼怒川の温泉街で外資系ファンド初の買収ケースとなった「星の宿」。再建に乗り出すのは米デラウェア州の「GRBインベストメント」で、日本人社員による新会社を設立し、旅館経営を委託している。日本ならではの温泉街が、外資の手によって、どう生まれ変わるのか?伊藤教授が、実際に現場を取材します。

日本の個人金融資産を世界のために

日本のマネーを発展途上国で役立てる事例としては、「世界銀行債券」を取り上げます。
日本人にとって比較的手軽に発展途上国のために自分の資産を使う方法の代表は、世界銀行の発行する債券を購入することでしょう。世界銀行は、世界中の投資家から資金を集め、その資金を発展途上国に融資することで経済発展、社会インフラの整備などに寄与しています。そもそも世界銀行は、第二次世界大戦の復興のために作られた組織で、実は日本も戦後しばらく、多くの製鉄所やダム・発電所の建設、新幹線や高速道路の整備のために世界銀行からの融資を受け、奇跡的な経済復興を遂げました。
このように、貧困に苦しむ人々を救ったり、自然環境保護のために活用されることに共鳴し、投資をすることを社会的責任投資(SRI=Socially Responsible Investment)といいますが、近年、こうした投資への関心が高まっていることも事実です。日本の個人金融資産は1500兆円にものぼり、有効に生かされていないとも言われています。その内の一部でも、発展途上国への投資に回れば、その国を救ったり、発展に寄与することになります。そして、それが、やがて世界経済全体の活性化に繋がる可能性は十分にあります。グローバル化が進む時代、自分の貯蓄を世界のために役立てれば、やがて自分にも返ってくるという「お金」に対する発想は重要ではないでしょうか。

ゲストコーナー
デクシア クレディ ローカル銀行 東京支店長 ロベール・ヴェルディエ氏

デクシア クレディ ローカル銀行 東京支店長 ロベール・ヴェルディエ氏



今回のゲストは、地方自治体が国からの権限移譲を背景に確固とした自主財源を持ち、自立することが求められている中、外資系金融機関でありながら、東京に支店を置き、日本の地方自治体を専門に新型の融資を展開している「デクシア クレディ ローカル銀行」(本拠:ベルギー)の東京支店長 ロベール・ヴェルディエさん。地元の金融機関との協力体制を取るという、ユニークな自治体ファイナンスで、例えば京都市の場合、京都銀行と100億円の共同融資を行っている。 またフランスやベルギーでの病院再建のノウハウを、日本の自治体に教えることで、地方医療の健全化にも貢献できると言う。「日本の銀行になる」ことを目標に「カメ」のように一歩一歩着実な成果をあげるデクシア クレディ ローカル銀行の戦略を伺います。