舞台女優 黒柳徹子「おとなの恋をしてみたい」

黒柳徹子の知られざる女優としての姿を描いたドキュメンタリーの続編がいよいよ登場! タレント、文筆家、ユニセフ国連親善大使として活躍する彼女の本当の顔。稽古場での練習風景。舞台に賭ける想い…。そんな舞台女優としての黒柳徹子のドキュメントは新しい発見の連続だ!

黒柳徹子の演劇活動は、一般的にはあまり知られていない。テレビタレントのイメージが強い彼女だが、NHK放送劇団から文学座研究所に入り、実は40年以上も演劇女優として舞台活動を続けている。黒柳徹子は一年に1度、秋になると“舞台女優”になる。彼女は自分の職業を問われたら、“舞台女優”と答えるであろう。職業というより、それを天命と考えているのだ。
黒柳は舞台以外の、テレビ・映画では俳優として演じないことを徹底している。それは彼女が、“舞台”というものが、どれほど洗練された知的で素敵な表現の場であるかを知っているからである。
「舞台女優 黒柳徹子」シリーズの歴史は、BS朝日のそれと重なる。開局1年目の2001年4月、黒柳徹子の知られざる一面にスポットを当てた「舞台女優 黒柳徹子」の3作品(2時間番組3本)を放送。続く2003年に第4弾を放送した後も、カメラは彼女の舞台女優としての姿を追い続けてきた。ハイビジョンカメラで撮影された「舞台女優 黒柳徹子」の姿は、年を重ねるごとに輝きを増す。
そして今回、BS朝日開局5周年記念特別番組として、最新作「舞台女優 黒柳徹子 大人の恋をしてみたい」をお届けする。彼女の舞台の集大成と位置づけられる2つの作品の舞台裏と、ステージの様子を織り交ぜ、「舞台女優 黒柳徹子」の魅力に迫っていく。

黒柳徹子は“舞台女優”として、毎年秋に公演を行う。自らを“舞台女優”と名乗る黒柳のテレビバラエティーで見せる顔とは違う、もう一つの彼女の姿をカメラは追いかける。
1996年に第38回毎日芸術賞、第4回読売演劇大賞を受賞した黒柳徹子。その受賞から9年間、ずっと撮りつづけた舞台活動は、今や演劇界の貴重な記録になっている。
黒柳が演じるのは海外の脚本家の戯曲。そこには、彼女自身が影響を受けた優れた劇作家達の戯曲を日本に紹介したいという強い思いがある。主人公を演じるために役作りはもちろん、その作家の歴史観、物語が成立した時代背景などを徹底的に研究する。舞台女優として作品に内在された“人間の心の中”を観る人に伝えるためには、台詞や立ち振る舞いだけでなく、作品世界に没頭する必要があると考えるからだ。
また、黒柳徹子の場合、台本に書かれた役と黒柳自身の個性の両方がいかに生かされるかが、独特の芝居作りにつながっている。そのため演出家はもちろん、照明・衣装などのスタッフはいかにして黒柳の個性を生かすかということに心血を注ぐ。10年来の長い付き合いの息の合ったスタッフ達だからこそ出来る舞台がそこにはあるのだ。 2004年上演の「ローズのジレンマ」は、ニール・サイモン作の恋物語。黒柳演じる女流作家が亡くなった愛人の幽霊を見ながら繰り広げる舞台は、コメディとシリアスが交じり合った難しいもの。
愛人・幽霊役の岡田真澄、そして脇を固めるうじきつよし、川上麻衣子の「舞台女優 黒柳徹子」への印象をインタビューで伝える。
2005年上演の「ふたりのカレンダー」では、初の二人芝居に挑戦。圧倒的な台詞の量。そして二人芝居の宿命である幕間の時間。難しい二人芝居を裏で支えるのは黒柳の舞台にずっと関わってきた一流のスタッフたち。演出家の高橋昌也氏を初め、照明の沢田祐二氏など日本屈指の舞台人たちの力で「舞台女優 黒柳徹子」は輝きを増していく。
こうしていつも新しい個性を生み出す黒柳徹子の才能とは何なのか…。それを楽しく見せるソフィスティケイテッドコメディとしてのドキュメンタリー。

◆「ローズのジレンマ」(2004年・秋公演)
「ローズのジレンマ」では、老いた女流作家が、死んだ愛人で、有名なハードボイルド作家の死後もその亡霊を妄想し、財産を失っても、我が娘を失ってもその愛に生きる姿を描く。最後は粋なハッピーエンド。しかし、この舞台は、人によっては見え、人によっては見えない岡田真澄の幽霊が複雑に入り組むむずかしい芝居。その芝居を黒柳徹子はいつものように明るく、奔放に、そして緻密に演じる。涙と笑いを誘うおとなの恋物語。4人の出演者の仲の良いチームワークは、見る者をほのぼのとさせる。
出演/黒柳徹子、岡田眞澄、川上麻衣子、うじきつよし

◆「ふたりのカレンダー」(2005年・秋公演)
2005年の公演「ふたりのカレンダー」はロシアのリガを舞台にした恋物語。戦争で妻を失い、サナトリウムの院長をしている初老の男の所に患者として、夫に逃げられた元サーカス団の女優がやってくる。この気ままで自由な女は医者をいつも怒らせるが、男の死んだ妻への愛の誠実さを知り、恋をする。恋をしてもそう言いたくない女のかわいらしさ。それを黒柳が見事に演じる。共演は団時朗。二人だけの恋愛劇は心理表現がむずかしく、歌も踊りもある難役を、黒柳はどんな風に演じるのだろうか…。
出演/黒柳徹子、団 時朗

■ CAST

黒柳徹子
東京・乃木坂に生まれる。東京音楽大学声楽科を卒業後、NHK放送劇団に入団、NHK専属のテレビ女優第1号として活躍。その後、文学座研究所、ニューヨークのMARY TARCAI(メリー・ターサイ)演劇学校などで演技を学ぶ。1976年には、日本で初めてのトーク番組「徹子の部屋」がスタート。1981年に出版された「窓ぎわのトットちゃん」は700万部というベストセラーの日本記録を達成する。現在も、テレビ、著作、舞台、福祉活動など様々な分野の第一線で活躍を続けている。